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最高裁判所第二小法廷 昭和40年(し)7号 決定 1965年6月21日

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件再抗告の趣意は別紙書面記載のとおりである。

しかしながら、記録によれば、本件保護事件は、愛媛県中央児童相談所長が児童福祉法二七条一項三号に基き少年を教護院に入所させるにあたり、少年の行動の自由を制限する強制的措置を必要とするため、同法二七条の二、少年法六条三項により松山家庭裁判所に送致したものであり、同裁判所は調査の結果、少年に対し右強制的措置をとる必要ありと認め、少年法一八条二項により「この事件を愛媛県中央児童相談所長に送致する。愛媛県中央児童相談所長は、この少年に対しその行動の自由を制限し、又はその自由を奪うような強制的措置のとれる教護院に入所させることができる。ただしその期間は入所の日より二年間を超えてはならない。」と決定したものであることが認められる。

ところで、右児童相談所長のなした右家庭裁判所への送致は、右強制的措置をとるについての許可を申請する趣旨のものであり、同家庭裁判所のなした右決定も、これに対する許可の性質をもつた決定であると解すべきであり、従つて少年法三二条により抗告を認められた保護処分の決定に当らないことは明らかである。また少年法は、同条以外には少年保護事件に関する家庭裁判所の決定に対し抗告を認める趣旨の規定を設けていないのであつて、これは、同法二四条一項所定の保護処分決定に対してのみ抗告を許し、それ以外の同法に規定する決定に対しては不服申立を許さない趣旨であると解するのが相当である。

そうすると高松高等裁判所に対してなされた本件抗告は、もともと不適法なものであつたのであるから、同裁判所はこれを不適法として棄却すべきであり、これを適法と認めた原決定の判断は相当でないが、右決定は結局抗告を理由なしとして棄却しているのであるから、当裁判所においてこれを破棄する必要は認められない。

しかしながら、原裁判所への抗告が許されないものであつたことは前叙のとおりであり、従つて本件再抗告の申立も全く不適法なものとして棄却を免れないから、少年審判規則五三条一項により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。(奥野健一 山田作之助 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外)

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